天竜堂

2026.02.12

フィッティング研修会第3回 — 明視域を理解し、レンズ性能を最大限に引き出すフィッティング —

浜松市と磐田市に3店舗と2店舗の系列店を展開する、メガネと補聴器の専門店・天竜堂です。株式会社VIEWSの代表取締役吉原智様を講師に迎え、全4回にわたるこの研修シリーズ。前回のコラムでは、販売時に行うフィッティングの実践と、見え方に直結する光学的フィッティングについて学びました。3回目はレンズ性能を引き出すフィッティングについて学びます。「ちゃんとしたメガネ」を完成させるために欠かせない、より具体的で実践的な内容です。

明視域について

明視域とはメガネを掛けた時にピンとが合い見える範囲のことです。例えば、老眼鏡は新聞や本を見る35cm~40cmぐらいにピントが合い、遠くボヤケて見えます。(遠くにピントは合っていない)

近視用のメガネを掛けると遠くはピントが合って見えますが、近くがボヤケて見えます。メガネを外せば近くは見えるが、遠くがボヤケて見えます。遠近両用や中近両用レンズなどはフレームの掛かる位置がズレることで本来の明視域とずれてしまい、メガネの使いづらさにつながるのです。

累進レンズ(遠近両用や中近両用、近々レンズの理解)

累進屈折力レンズの種類とそれぞれの特徴は以下のようになっています。

・遠近両用レンズの明視域;遠方〜近業距離
・中近両用レンズの明視域:1mまたは3m~近業距離
・近々レンズの明視域:80cmぐらい~近業距離
           広げた新聞やパソコン画面は見やすい

・「1/2調節法」について 「1/2調節法」とは、ピントを合わせる力(調節力)をサポートする度数の計算方法の例です。調節力を全部(最大調節力)使うと、近業が疲れてしまうため、半分を残そう!という理論です。

フィッティング目測と実測

フレームを掛ける前にフレームの側頭幅や鼻幅が合っているかを目測する。合っていなければ掛ける前に直す。

フィッティング目測と実測"
フィッティング目測と実測"

フレームを掛けた時に、レンズの中心位置がどこにくるのか、目とレンズの距離は何mm離れているのか、横から見た時のフレームの傾斜角が何度かを目測をする。

瞳孔中心の高さは、

左の瞳孔中心の幅、フレームの前傾角、そり角、

フィッティング目測と実測"

頂間距離:目とレンズの間の距離

フィッティング目測と実測"

前傾角:フレームの傾斜角

フィッティング目測と実測"

実際に瞳孔位置を測定し、累進レンズ専用のアイポイントシールを貼り付ける。緑色の丸が遠用度数、赤丸に近方度数が入る。視線の位置でピントの合う位置が変わる。

フィッティング目測と実測"

目の位置やフレームの傾斜、頂間距離の測定ができるアプリでの測定

フィッティング目測と実測"
フィッティング目測と実測"

・鼻幅の目安
東洋人:16mm ±2mm がほとんど

・テンプルの曲げ位置に関係するこめかみの長さの目安
男性:100mm ~ 105mm
女性:95mm ~ 100mm

フィッティング時の道具の種類と使用方法の確認

・鼻幅の調整時に使用する道具
・顔幅を広げる際に使用する道具
・道具の使い方の確認

フィッティング時の道具の種類と使用方法の確認"

まとめ

今回の研修で確認した最も重要なポイントは、「見え方は度数だけで決まるものではない」ということです。遠近両用・中近両用・近々レンズには、それぞれ明確な使用距離と明視域の設計意図があります。この設計を理解せずに選ぶと、「疲れる」「違和感がある」「見えづらい」という結果につながります。

また、明視域が合っていてもフィッティングが合っていなければ明視域はズレます。天竜堂では、レンズ性能を引き出せるようフィッティングの「理論」 × 「実測」 × 「経験」を重ねたフィッティングにより、「ちゃんとしたメガネ」を提供しています。

この記事はわたしが書きました

齋田祐一(さいたゆういち)

有限会社天竜堂 1級眼鏡作製技能士(旧SSS級認定眼鏡士)

キクチ眼鏡専門学校卒業後、眼鏡の組合で教育事業に関わり、眼鏡店、眼科を経験後有限会社天竜堂へ入社。眼鏡の仕事を多方面から関わることでお客様のお役に立てる商品やサービスの提案に日々邁進しております。

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フィッティング研修会第2回 ― 販売時のフィッティングと光学的フィッティング ―
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