天竜堂

2025.08.07メガネ

情熱が紡ぐ「見える」喜び ~レンズ工場視察から見えたもの~



2024年は、私たち天竜堂にとって、レンズの「現場」を深く知る一年となりました。始まりは、2024年3月に私自身が視察したホヤタイ工場です。20歳の頃、バックパックひとつで訪れた思い出の地・タイで、30年の時を経て再びこの地に立てたことに、深い感慨を覚えました。
ホヤタイ工場は、「高品質かつ量産」をコンセプトに、何万枚ものレンズを世界中に供給する、まさに世界規模の生産拠点です。そこで働くエンジニアの方々の、ものづくりにかける情熱と誇りに触れ、その熱い思いをぜひ社員にも伝えたいと強く感じました。
この思いを胸に、同年8月には国産最高性能最高品質レンズ設計製造販売の東海光学岡崎工場を視察し、そして2024年11月には、社員7名とともにHOYA松島工場を見学しました。ホヤ松島工場は、主に国内市場向けに「高品質で最先端のレンズ製造」をコンセプトとしており、何万枚のレンズを生産する、精密さと革新性を兼ね備えた工場です。
松島工場では、工場長自らが私たち社員のために工場をご案内くださいました。レンズの製作工程である**「材料出し」「切削・研磨」「染色」「ハードコート」「マルチコート(AR)」「最終検査」といった全ての工程を、丁寧にご説明いただき、社員たちは真剣な眼差しでメモを取り、積極的に質問を投げかけていました。特に印象的だったのは、一枚のレンズがお客様の手に渡るまでに、いかに多くの工程と、熟練した職人の技、そして最新の設備が関わっているかを肌で感じられたことです。累進レンズの隠しマークが付与される工程や、顔料が撹拌される様子、洗浄されたレンズが液体に浸され熱処理で固まるハードコート、そして金属製の傘に並べられたレンズが大きな釜の中で蒸着されるマルチコートの様子は、まさに職人技と最先端技術の融合でした。
弊社の先代は「HOYAはすごみがあるぞ」と常々語っておりました。今回の視察を通じて、その言葉の真意を改めて理解しました。タイ工場が来年で50周年を迎えると伺い、私自身も昨年50歳になったばかり。アユタヤ工場ができて30年と聞き、私の生きてきた時間と、HOYAの皆さんが脈々と受け継いできた情熱が重なり、深く心に響きました。
レンズを設計する人、製造する人、そして天竜堂まで届けてくださる人たち。さらに私たち天竜堂がお客様の目の検査をして最適な度数を提案し、レンズを加工してフレームに収める。眼鏡がお客様の手に渡るまでには、実に多くの工程と、様々な人々の情熱が注がれていることを、社員一人ひとりが今回の見学で実感できたことでしょう。
両面研削加工機、研磨機、蒸着機械の高額で最先端の設備からも、HOYAがものづくりにかける並々ならぬ情熱とプライドが伝わってきました。かつてエンジニアだった私にとっても、それぞれの工場の特徴、優位性、そしてコンセプトを深く理解できた、非常に学びの多い視察となりました。
天竜堂では今後も、お客様に最高の「見える」喜びを提供するため、レンズの「現場」とのつながりを大切にし、より良い眼鏡づくりを追求してまいりま

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